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回路理論 小テスト3「RLC回路の過渡現象」対策
この資料の使い方。 過去問(令和6年度 小テスト3・出題:光本先生)の3問を完全再現+全文解説した。明日の小テストも同じ範囲 「RLC回路における過渡現象」なので、問1〜問3を白紙から自力で再現できることがゴール。 各問は「問題 → 方針 → 解法 → 結論 → 注意」の順。最後のドリルで数値・条件を変えた出題に備える。
100点チェックリスト
2 [立式]
☐ KVLで を書ける
☐ 初期電荷があるときは になると言える
☐ 積分が混ざった式を微分して2階微分方程式にできる
☐ (充電)と (放電)を使い分けられる
☐ 初期条件の根拠(電荷保存則・磁束鎖交数保存則)を答案に書ける
[振動条件]
☐ 特性方程式 を立てて解の公式で解ける
☐ 振動 根が複素数 判別式 と言える
☐ 振動条件 ()を導出付きで書ける
☐ 過減衰・臨界制動・不足減衰(振動)の3モードを区別できる
[フェーザ(定常解)]
☐ 「定常状態を求めよ」 フェーザ法と即断できる
☐ ,, を書ける
☐ ,偏角 を出せる
☐ RC回路の電流は電圧より進む()と言える
☐ 実効値 と瞬時値表示の往復ができる
[LC振動]
☐ から初期条件で を決められる
☐ オイラーの公式で にまとめられる
☐ を導けて単位 [A] を付けられる
出題型の地図
@C11mmYYY@ & 問1:直列RLC+直流 & 問2:RC+正弦波 & 問3:LC振動
問うもの & (1)回路方程式 (2)振動条件 & 定常状態の & の (初期電荷 )
解法 & KVL立式 → 微分 → 特性方程式 → 判別式 & フェーザ(記号法)で & 特性方程式 → 純虚数根 → 初期条件 → オイラー
答えの形 & & &
落とし穴 & を と書く & 位相の符号(RCは進み) & の符号
直前チェック:チートシート
@lY@ 抵抗 &
コイル & (電流の急変を嫌う: で は連続)
コンデンサ & (電圧の急変を嫌う: は連続)
手順: 1. KVLで回路方程式を立てる → 2. 両辺を で微分して積分を消す(または で書き直す)→ 3. とおき特性方程式を解く → 4. 判別式の符号で解の形(下表)を決める → 5. 初期条件( 連続・ 連続)で定数を決める。
@lllY@ 判別式 & 条件( で表す) & モード & 解の形
& & 過減衰(非振動) & (実数根2つ)
& & 臨界制動 & (重根)
& & 不足減衰(振動) & ,
(LCのみ)なら :減衰しない持続振動。(共振角周波数)。
@YY@ インピーダンス:, , & オイラー:, ,
はフェーザでは実効値 。 を計算し、最後に に戻す。 RC回路(容量性):電流は進み()/RL回路(誘導性):電流は遅れ()。
微分方程式の道具箱(苦手な人はここから:5つの道具で全問解ける)
道具1:なぜ とおくのか。 は微分しても 倍されるだけで形が変わらない:
だから微分方程式に代入すると全項に共通因子 が現れ、くくり出して割れば 「微分の式」がただの「 の2次方程式(特性方程式)」に変わる:
微分を1回もしなくてよくなるのがこの置き方のうれしさ。
**道具2:1階の型は「変数分離」で必ず解ける。**例として :
両辺を の肩に乗せると 。定数をまとめて と書けば
RC回路なら同じ手順で 。「(または )の項を左、 の項を右に分けて両辺積分」するだけ。
道具3:2階は特性方程式の根 のパターンで解の形が決まる。
実数根2つ:(過減衰)
重根 :(臨界制動)
複素根 :2つの解の重ね合わせで オイラーの公式 を代入して整理すると
つまり「根が複素数」=「 が出る」=「振動」。 根の実部 が包絡線 (減衰の速さ)、虚部 が振動の角周波数。 実部が (純虚数根)なら減衰せず振動し続ける(問3がこれ)。
道具4:右辺が でない(電源が残る)ときは「全解=過渡解+定常解」。
直流電源なら特解は「十分時間が経った後の値」( とおいて求める)。 正弦波電源なら特解=フェーザで出す定常解(問2)。
**道具5:未知定数は初期条件で決める。**階数=未知定数の個数=必要な条件の数。 条件の根拠は次の2つの保存則で、(ON直前)の値がそのまま に引き継がれる:
電荷保存則:コンデンサの電荷 (したがって )は急変しない。 電流 が有限である限り、 は一瞬で飛べない(不連続になれない)ため。
磁束鎖交数保存則:コイルの磁束鎖交数 (したがって電流 )は急変しない。 電圧 が有限である限り、 は一瞬で飛べないため。
答案で初期条件を使うときは「電荷保存則より 」「磁束鎖交数保存則より 」のように 法則名を添える(過去問の模範解答もこの書き方で、根拠の明示が採点ポイント)。
問1:直列RLC回路の方程式と振動条件
問1(小テスト3 過去問・令和6年6月11日)
図のように、起電力 [V]、スイッチ 、抵抗 []、コイル [H]、コンデンサ [F] を直列に接続した回路がある。 で を ON した。初期電荷、初期電流は 0 である。
における回路方程式を示せ。
の が右上図のように振動的になった。このような となるときの条件を を用いて示せ。
(1) 回路方程式
方針: 閉回路を電流 が一周するので、KVL(電圧則):「素子の電圧降下の和=起電力」を書くだけ。 それぞれの電圧をチートシートの式で書く。初期電荷が 0 なので の積分は から始めてよい。
解法: 図の向きに をとると、各素子の電圧降下は
これらの和が起電力 に等しいから、
(順番は でも同じ。3項の和= になっていればよい)
初期電荷 の問題に変えられたら 。 「初期電荷・初期電流は0」という一文は(1)の積分の下端と、(2)で使う初期条件の両方の根拠なので、答案でも触れると確実。
(2) 振動条件
方針: 振動するかどうかは過渡解(同次解)の形で決まる。(1) の式は積分が混ざっているので、 両辺を で微分して2階微分方程式にし、特性方程式の根が複素数になる条件(判別式 )を出す。 右辺の定数 は微分すると消えるので、ちょうど同次方程式になる。
解法(全ステップ):
Step 1. 積分を消して2階微分方程式にする。 (1) の両辺を で微分する。各項は 、 、 (積分して微分すると元に戻る)、 右辺は定数なので 。よって
Step 2. 特性方程式を作る(道具1)。 とおくと ,。代入して
(恒等的に0でない解がほしい)なので、カッコの中が0:
Step 3. 2次方程式の解の公式で解く。 ,, として に入れる。 だから
Step 4. 「振動=根が複素数」を確認する(道具3)。 根号の中 が負なら となり、根は複素数
道具3(c)より解は 。 初期電流 (磁束鎖交数保存則:ON直前は電流 0)を入れると なので
これは包絡線 の中で振動する波形——まさに問題の図と一致する。
Step 5. 条件を書く。 振動する 根が複素数 根号の中が負:
答案には「特性方程式の根が複素数になる条件」であることと、Step 3 の の式を必ず書いてから不等式を出す。
過去問の模範解答も を整理して を最終解答にしている。 を や と書き間違えるのが定番ミス。次元チェック: は抵抗 [] の次元。
「振動しない条件」と聞かれたら不等号の向きを逆に(:過減衰。等号は臨界制動)。
不等号だけ書いて終わらず、「特性方程式の根が複素数 → 解が 型 → 振動」という理由の一文を添える。
問2:RC直列回路の正弦波定常解(フェーザ)
問2(小テスト3 過去問・令和6年6月11日)
図のように、電源 [V]、スイッチ 、抵抗 []、コンデンサ [F] を直列に接続した回路がある。 で を ON した。初期電荷は 0 である。図のように をとるとき、定常状態における を求めよ。
方針: 回路方程式は だが、 聞かれているのは定常状態だけ。定常解は微分方程式を解かなくてもフェーザ(記号法)で と一発で出るので、これを使う(過渡項 は で消える成分なので無視してよい)。
解法: 電源をフェーザ(実効値表示)にすると
回路のインピーダンスは
よって電流フェーザは
複素数の割り算は「大きさは大きさで割る、角度は引き算」: 大きさ 、角度 。 分母の が分子に上がって になるところが採点ポイント。
瞬時値に戻す(振幅は 実効値、位相 を の中へ)と、
補足:微分方程式で解くと何が起きているか(道具2・道具4の確認)。 電荷 (充電の向きなので )で書き直すと、1階・非同次の方程式
道具4より、全解=過渡解+定常解。過渡解は右辺を にした を道具2(変数分離)で解いて
定常解(特解)が、上でフェーザを使って出した正弦波。全解は で、 は初期電荷 から決まるが、 で となって過渡解は消える。 残った定常解だけが「定常状態」——それを微分方程式を解かずに代数だけで出す道具がフェーザ。 だから本問はフェーザ計算のみで完答してよい。
位相の符号が最頻出の採点ポイント。 の偏角が (容量性)だから、割り算で電流は : RC回路の電流は電圧より進む。RL直列なら逆に (遅れ)。
検算: で は短絡 → 、 で は開放 → 。上式はどちらも満たす。
のまま答えない。瞬時値で聞かれたら最後に 倍して戻す()。
微分方程式で解くなら:全解=過渡解 +定常解(上式)。「定常状態」とは が十分経って過渡項が消えた状態のこと、と書けると強い。
問3:LC回路の振動(初期電荷あり)
問3(小テスト3 過去問・令和6年6月11日)
図のように、初期電荷 [C] をもつコンデンサ [F]、スイッチ 、コイル [H] を接続した回路がある。 で を ON した。 の電流は で 0 とする。図のように をとるとき、 における を求めよ。
方針: がないLC回路なので減衰しない持続振動になるはず(チートシートの の場合)。 電流と電荷が両方出てくるので、電荷 で統一して2階微分方程式にするのが見通しがよい。 コンデンサは放電するので、図の向きの と電荷の関係は ( が減る向きに が流れる)。 最後は初期条件 , で定数を決め、オイラーの公式で実数形に直す。
解法(全ステップ):
Step 1. 立式して電荷 で統一する。 KVLより、コンデンサの電圧 がそのままコイルに加わるから
ここで放電だから 。これを左辺に代入すると なので
Step 2. 特性方程式を作って解く(道具1)。 とおくと 。代入して
負の数の平方根なので を使って(1次の項がないので の純虚数根)
根が2つあるので、一般解は2つの解の重ね合わせ(足し算):
Step 3. 初期条件2つで を決める(道具5)。 ① 電荷保存則より、ON直前にコンデンサが持っていた電荷は急変しないので 。 一般解に を代入し、 だから
② 磁束鎖交数保存則より、ON直前にコイルに電流は流れていなかったので 。 まず を微分する( の微分は 倍):
を代入して 。 だから
②を①に入れると :
Step 4. オイラーの公式で実数の式に直す。
( が消えてちゃんと実数になる。消えなかったら計算ミス。)
Step 5. 電流に戻す。 の微分は 、合成関数なので 倍を忘れない:
符号ミス最多ポイント:放電だから 。これを にすると になり符号が逆。 検算: では が に電流を流し始めるので、図の向きなら に増えるはず → で正しい。
初期条件には法則名を添える:「電荷保存則より 」「磁束鎖交数保存則より 」(模範解答もこの書き方)。
物理チェック:(コイルは電流の急変を嫌う)、 を最終式が満たすか必ず代入確認。 は で 、 は で 0。OK。
なので減衰せず、エネルギーが の静電エネルギー の磁気エネルギーを行き来する持続振動。 から振幅 を検算できる(解いた振幅と一致)。
単位 [A] を書き忘れない(過去問の模範解答も [A] 付き)。
バリエーションドリル(本番で数値・条件を変えられたら)
ドリル(各自、白紙で解いてから下の解説へ)
起電力 、抵抗 、コイル の直列回路(RL直列+直流)。 で S を ON、。 の を求めよ。
問1の回路で「 が振動しないための条件」を で示せ。
問2の をコイル に置き換えた回路(RL直列+)。定常状態の を求めよ。
問3で、初期電荷が 0、 の初期電流が の場合の の を求めよ。
, のとき、問1の が振動するための の範囲を数値で求めよ。
D1.(1階の基本型:道具2+道具4の練習) 方程式は 。 定常解:十分時間が経つと電流が一定になるので とおくと ,。 過渡解:右辺を にした を変数分離(道具2の例そのまま)して 。 全解に初期条件: に を代入して ,。
コイルがあるので電流は 0 から立ち上がり、最終値 (定常ではコイルは短絡扱い)。
D2. 振動しない 特性根が実数 判別式 :
等号()は臨界制動。「振動しない」に等号を含めるのを忘れやすい。
D3. ,。 の偏角が だから電流は遅れ:
問2(RC:進み )との符号の対比が本番でそのまま狙われる。
D4. 一般解は問3と同じ ()。 初期条件が ,()に変わる: と 。 2式目から ( に注意)、 1式目とあわせて 。
コイルの電流が連続()になっていることを確認。
D5. より ,すなわち
指数(m と )の処理だけ落ち着いて。
最後の見直しリスト(試験直前30秒)
回路方程式: —— 3項とも書いたか。初期電荷の扱いは正しいか。
振動条件:判別式 → 。分母分子を入れ替えていないか。
フェーザ:実効値 で計算 → 最後に 倍で瞬時値へ。RC は進み 、RL は遅れ 。
LC振動:(放電)。 → → 。
仕上げ:初期条件(電荷保存則= 連続・磁束鎖交数保存則= 連続)を最終式に代入して検算。単位 [A] を書く。
(出典: 令和6年度 後学期 小テスト3「RLC回路における過渡現象」(回路理論・4E・出題:光本真一先生)過去問の写し3枚(CircuitTheory/materials/S__30867482–84.jpg)。模範解答(手書き解答)の最終結果と本資料の結論はすべて一致。)