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経済学I 講義まとめ(録音より:富の概念・赤字財政・マルクス)

**この講義でやったこと(録音から)**①スミスの富=フローという捉え方と重商主義批判/②赤字財政をIS-LM図で(均衡がA→B→Cと動く)、そしてクラウディングアウトの注意/③マルクスの交換過程--から--へ)と労働力という商品

先生が言っていた試験のヒント・IS-LM図のA・B・Cの点に関する問題が出る(「グラフの4分の1のところ、A・B・C」)。・マルクスのところはややこしい問題になりうる。・「ここまで説明したところを勉強すれば全部解けるようにしている」=この録音の範囲が本命。

富の概念:ストックとフロー

  • ある時点でどれくらい持っているか(土地・建物・機械などの実物資産+対外債権などを合わせたもの)を捉えたのがストック。「今この瞬間の保有量」。

  • これに対し、生産・消費される財を一時点の量ではなく、一定期間(1ヶ月・1年)あたりの量として捉えるのがフロー。時間あたりの流れで見る概念。

  • フローの概念を使っている代表が国民所得で、大半の経済統計は国民所得(=フロー)を中心に考えられている。資産(ストック)も把握はするが、現在の経済はフロー中心。

スミスがフロー(国民所得)を重視した態度には、重商主義への批判が込められている。重商主義は貴金属(金)を国内にため込むことを重視する考え方で、金という一種の資産(ストック的なもの)を富の尺度とみなす流れがあった。スミスはそれを批判する形で、富を「年々生産・消費されるフロー」として捉え直した。※録音では「重症主義」と聞こえるが重商主義のこと。

均衡国民所得と赤字財政(IS-LM)

出発点市場で決まる均衡点が、完全雇用を達成する国民所得になる保証はない。放っておくと完全雇用にならない。そこでケインズは、そのために財政政策が必要だと主張し、赤字財政が正当化されるとした。

IS-LM図での動き(均衡 A → B → C)

  1. 最初がIS1・LM1のとき、貨幣を増やさず財政規模だけ大きくすると、取引が増えてIS曲線がIS1→IS2へ移動。LM曲線は動かないので、均衡はA→Bへ動く。この時点で国民所得が増え、同時に利子率も上昇している。

  2. 赤字財政を行うには財源がいるが、完全雇用が達成されていない状態なので十分な税収はなく、借金(国債)で資金を確保する必要がある。国債を中央銀行引受で発行すると貨幣量が増える

  3. 貨幣が増えたぶんLM曲線もLM1→LM2へシフト。均衡はCへ移動。ここでは国民所得はさらに増え、利子率はB(財政だけ拡大した時)と比べて低くなる

どこまでやってよいかもし完全雇用が達成されている状態でさらに貨幣を増やすと、困るようなインフレが起こる。だが完全雇用に達していない状況でなら、そこで生じる物価上昇は許容できるレベルと考える。だからケインズは赤字財政を必要としつつ、無限にやり続けてよいとはしていない(完全雇用に近づくまで)。

クラウディングアウトに注意赤字財政のために国債を出すと、通貨(資金)が国債に吸われて民間の投資が減ることが起こりうる。すると財政政策の効果が民間投資の減少で一部相殺される。図の上ではLM曲線が左方向に戻るように働き、結果として国民所得が一部減ってしまうこともある。これがクラウディングアウト

この分析の前提:閉鎖経済もし海外を考えると、資本の輸入・国内からの資本の輸出が起こり、別の要因(海外のビジネスの動向)まで分析に入れなければならなくなる。ここではそれを考えないため「閉鎖された経済(クローズドな経済)」を前提にして説明している。(=開放経済にすると話が変わる、という先生の補足。)

マルクスの交換過程と労働力

マルクスの体系は量的な議論だけでなく、原理的・論理的な構成で示される。それが最もよく表れるのが交換過程の話。

  • かつての商品交換で最初に起こるのは、自分が作った商品を売って貨幣を得て、その貨幣で別の(必要な)商品を買うという形。すなわち--(商品→貨幣→商品)。

  • これが繰り返されるうちに、必然的に貨幣自体が出発点になる交換が生まれる。貨幣→商品→貨幣(--

ここで矛盾が出る--最初のGと最後のGが同じ価値なら、やる意味がない(無駄な取引)。だから意味を持つには価値が増えてになる(--必要がある。ところが等価交換を前提とする商品流通そのものは価値を増やせない。「価値は増えないはず」なのに「価値を増やす取引が要る」──ここに矛盾が生じる。

矛盾の解決:労働力という商品

  • この矛盾を解くために、それ自体の使用価値が「価値の生産」であるような特別な商品が要る。それが労働力(という商品)

  • 商品の価値はそれを再生産するのに必要な労働(時間)で決まる。労働者は4時間の労働分の賃金(生活手段の価値)を受け取っている、という設定。

  • ここで「労働」と「労働力」を切り分けるのがポイント。実際に発揮される「労働」に対し、「労働力」は4時間分の価値しか持たない。この差が剰余価値(増殖分の源泉)になり、--が成り立つ。

**マルクス経済学の弱点(先生の指摘)**この弁証法的な論法ヘーゲルの哲学に影響されていて面白いが、哲学の影響が強すぎて他の経済学との相性を悪くしている。ふつうの経済学は実際のデータと比べて理論を修正していくのに対し、マルクス経済学は哲学的な背景まで一緒に修正しないと直せないため、現代の主流の経済学のようには扱いにくい。試験でもややこしい問題になりうる、と先生は言っていた。

一言まとめ(録音の骨子)

  • 富はストック(今の保有量)とフロー(期間あたりの流れ)に分かれ、国民所得=フローが統計の中心。スミスのフロー重視は重商主義(貴金属ため込み)批判

  • 市場均衡は完全雇用を保証しない赤字財政。IS-LMで財政拡大=IS右シフト(A→B)国債の中銀引受で貨幣増=LM右シフト(→C)。ただし完全雇用超はインフレクラウディングアウトにも注意。前提は閉鎖経済

  • マルクスは----の矛盾を労働力という商品で解く。労働と労働力の差=剰余価値ヘーゲル哲学が背景で、そこが他の経済学との相性の悪さになっている。

(出典: 2026年 経済学I 講義の録音(文字起こし)[00:00:00–00:30:11]。聞き取りに基づく要約のため、固有名詞・数値は板書・スライドで要確認。「重症主義」=重商主義など明らかな誤変換は訂正した。)