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電気磁気学A 小テスト1&2 総合対策(静電・導体系+磁界・鎖交磁束)
**このプリントの位置づけ。**本命は7/3(金)実施の小テスト2(板書告知)。ただし先生が 「小テスト1の範囲(静電・導体系)も小テスト2に出す」と明言したため、小テスト1+小テスト2を1冊に合本した。 板書(7/2)でビオ・サバール/アンペールの周回積分/環状ソレノイド(トロイド)の磁界と鎖交磁束が 「ここが出る」と示された=本プリントの磁界パートがそのまま試験範囲。 (板書に7/10・E棟3Fでの実施案内もあり=再/追試の可能性。日程は掲示で最終確認すること。)
**試験情報。**満点15点・合格ライン9点。真空の誘電率 ・透磁率 。参照物件なし(電卓なし)。 問題用紙に「導出過程を必ず記述すること。解答(数式)は簡略化すること。」と明記=途中式を省くと大幅減点、答えは約分・整理して最終形にする。出題:塚本武彦先生。
100点チェックリスト(この1枚で両テストを俯瞰)
2 [小テスト1:導体系・抵抗]
☐ 電位係数 の意味を言える
☐ 2導体間 は を代入して
☐ 容量・誘導係数は電位係数行列の逆行列だと言える
☐ 孤立導体球の電位 を使える
☐ で薄切りして抵抗を積分できる(円錐台)
☐ で を変換できる
[小テスト1:磁極・双極子]
☐ 点磁極 、磁気クーロン
☐ 棒磁石の垂直二等分線上で成分合成できる
☐ 双極子の電位 を近似で出せる
[小テスト1:静電容量]
☐ 同心球・同軸円筒・平行導線の を導ける
☐ 誘電体の層は直列、左右分割は並列
☐ 仮想変位:一定→、一定→
[小テスト2:ビオ・サバール]
☐ を書ける
☐ 有限長直線を で置換積分できる
☐ 円形コイル中心 、軸上
☐ 正三角形 ・正方形 を導ける
☐ 円弧・多角形は「1本ぶん×本数」で足せる
[小テスト2:アンペール]
☐ 周回積分 を書ける
☐ 円柱内部は面積比 (で内外一致を検算)
☐ 無限長ソレノイド内部 、外部
☐ トロイド 、
[小テスト2:鎖交磁束]
☐ 平行往復線は磁界が強め合う(足し算)
☐ 、区間は〜、対数積分
☐ トロイド断面の鎖交磁束
[共通]
☐ 導出過程を必ず記述(答えだけは0点)
☐ [A/m]・[T]・[Wb] の単位を混同しない
出題型の地図(この型が出る)
| テスト | 型 | 何をする問題か | 使う道具 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電位・容量・誘導係数 | 導体系の係数から 、または係数どうしの変換 | 、逆行列 |
| 1 | 抵抗と | 形状の抵抗を 積分、 で へ | 、 |
| 1 | 磁極の磁界 | 棒磁石(点磁極2個)の合成磁界 | 、成分合成 |
| 1 | 電気双極子 | 遠方点の電位(近似) | |
| 2 | ビオ・サバール | 有限長直線・円形/多角形コイルの磁界 | 、 |
| 2 | アンペール | 円柱/管状導体・ソレノイド・トロイドの磁界 | |
| 2 | 鎖交磁束 | 平行往復線・トロイド断面を貫く磁束 | 、対数積分 |
ビオ・サバールとアンペールの使い分けが磁界問題の最初の分岐。 対称性がある(無限長直線・円柱・ソレノイド・トロイド)ならアンペールが速い(積分1発)。 有限長・曲がった線・コイルなど対称性が無いならビオ・サバールで地道に積分する。
道具箱:これだけで全問解ける
| 電位係数 | (導体 の電荷が導体 の電位に効く割合が 、) |
| 2導体間 | ( を代入して ) |
| 容量・誘導係数 | (電位係数行列の逆行列。は ) |
| 孤立導体球 | 表面電位 、外部の点は |
| 抵抗(薄切り積分) | 、 |
| 静電容量(代表形) | 同心球 、同軸円筒 、平行導線 |
| 静電エネルギー | 、力は仮想変位で |
| 電気双極子 | 、、 |
| ビオ・サバール | (電流素片 が距離 の点に作る微小磁界、 は と のなす角) |
| 無限長直線 | (有限長を にした極限) |
| 円形コイル | 中心 、軸上 、巻はこれの倍 |
| 円弧(中心角 ) | (一周 なら に戻る) |
| 正多角形コイル | 正三角形(辺 )、正方形(辺 ) |
| アンペール | (閉曲線を一周した の和=その輪を貫く電流の合計) |
| ソレノイド | 無限長で内部 ( 巻/m)、外部 |
| トロイド(環状) | 、(内部のみ、外部) |
| 点磁極・磁気クーロン | 、 |
| 磁束密度・鎖交磁束 | 、 |
よく使う積分・置換(電卓なしでもここだけ暗記):
まず用語をやさしく(難語の対訳)。
電位係数 =「導体 に電荷を置くと導体 の電位がどれだけ上がるか」の係数。自分自身 が一番大きい。
容量係数・誘導係数=電位係数の逆向きの関係(電位を決めたとき電荷がいくつ要るか)。行列でいう逆行列。
磁界の強さ 〔A/m〕=「電流が周りに作る磁気の勢い」。電流だけで決まり、物質によらない。
磁束密度 〔T〕=「実際に空間を貫く磁力線の混み具合」。真空では で に比例。
鎖交磁束 〔Wb〕=「ある面を突き抜ける磁力線の総本数」。(密度)×面積を足し集めたもの。
周回積分 =「閉じた輪に沿って一周ぐるっと足す」。輪の上で が一定なら、ただの 。
鎖交電流 =「その輪の内側を実際に貫いている電流の合計」。輪の外の電流は数えない。
━━━ 第 I 部:小テスト1 の範囲(静電・導体系・抵抗・磁極) ━━━
電位係数から2導体間のキャパシタンス〔R4-1〕
問題(令和4年度)(出典: R4 小テスト1 問1)
以下に示す電位係数をもつ導体系(導体は2個)がある。この導体間のキャパシタンスを求めよ。
方針:「2導体間のキャパシタンス」なので、一方に 、他方に を与える。すなわち とおく。電位係数を と書くと、
2導体間の電位差は だから()、
よって 。各係数 , を代入する。
( の項は できれいに消える)。
電位係数から容量係数・誘導係数〔R6-1〕
問題(令和6年度)(出典: R6 小テスト1 問1)
電位係数が である導体系の容量係数・誘導係数を求めよ。
**方針:**容量係数・誘導係数の行列 は、電位係数の行列 の逆行列である。
の逆行列の公式 を用いると()、
この行列の各成分が容量係数 と誘導係数 である。
誘導係数 は必ず負になる(分子に )。物理的にも「隣の導体を正に上げると自分は負の電荷を引き寄せる」ので符号が合う。ここで正にしてしまう答案が多い。
2つの導体球の電位係数〔R7-1〕
問題(令和7年度)(出典: R7 小テスト1 問1)
半径がそれぞれ [m] の2つの導体球が、中心距離 [m] で真空中に置かれている。 の場合、この導体系の電位係数を求めよ。
**方針:**電位係数の定義 。基準として「片方だけに単位電荷」を置いたときの各球の電位を読めばよい。孤立導体球(電荷 、半径 )の表面電位は 、距離 の点では ( から)。
(i) (): 、(球2は球1から距離 、 なので中心間距離でよい)。
(ii) (): 、。
円錐台の抵抗と 〔R4-2, R4-3〕
問題A:円錐台の抵抗(令和4年度)(出典: R4 小テスト1 問2)
円錐の頭を切りとった物体(円錐台)がある。半径 , [m] の円形の面を電極(両端)として電流を流したとき、長さ [m] のこの物体の抵抗値を求めよ。抵抗率 [m]。
**方針:**微小厚さ の薄い円板を直列に積み上げる。位置 での半径は で へ線形に変化するので 。断面積 より微小抵抗 。これを で積分する。
ここで なので が約分されて消える。
問題B:抵抗から (令和4年度)(出典: R4 小テスト1 問3)
2つの導体の間に比誘電率 、抵抗率 の物質が隙間なく詰まっている。この導体間の電気抵抗が のとき、キャパシタンスを求めよ。
**方針:**同じ形状の導体系では、抵抗 と静電容量 の間につねに が成り立つ(電界 の分布が共通で、 と が同じ積分形になるため)。よって に代入する。
( が約分で消え、同軸円筒コンデンサの容量と一致する=検算になる。)
棒磁石(点磁極)の磁界〔R6-2〕
問題(令和6年度)(出典: R6 小テスト1 問2)
N極とS極の磁極の強さが [Wb]、長さ [m] の棒磁石が真空中にある。垂直二等分線(軸)上で中心から [m] 離れた P点の磁界の強さ を求めよ。
**方針:**各磁極が P につくる磁界を合成する。N極・S極から P までの距離はともに 。点磁極の磁界 より
(N極から外向き)と (S極へ向かう)を合成すると、(縦)成分は打ち消し合い、(磁石に平行)成分だけが残る。 成分の比率は なので
静電気のクーロンの法則の磁気版が土台:、磁界 、力 。分母にが入る(静電の に対応)。ここを 抜きで書くと誤り。
電気双極子がつくる電位〔R7-2〕
問題(令和7年度)(出典: R7 小テスト1 問2)
双極子モーメント の電気双極子がある。中心から角度 、距離 の点 P の電位 を求めよ()。 近似式:。
方針: を計算する。余弦定理で AP, BP を求め、 で近似( は無視)。
B は中心から見て角度 側なので となり 。逆数を で展開して差をとる:
電界成分(発展):、。
静電容量の代表形と仮想変位(denziki まとめ)
小テスト1では導体系の容量が土台になる。同じ「ガウスの法則→電位差を積分→」で全部出せる。
| 形状 | 電位差 の作り方 | 容量 |
|---|---|---|
| 同心球(内外) | ||
| 同軸円筒(長さ) | ||
| 平行導線(半径間隔) | () |
誘電体の入り方で直列/並列が決まる。
層状(半径方向に )=直列: が共通、。。
左右分割(領域を半分ずつ)=並列: が共通、。。例:同心球を半分ずつなら 。
静電エネルギーと仮想変位(力)。 蓄えるエネルギーは 。極板間の力 は微小変位 のエネルギー収支から:
電源なし( 一定):孤立系。 より (エネルギーが減る向き=引力)。 を使うと が増える向きに引かれる。
電源あり( 一定):電源が の仕事をし、うち半分が 増加、残り半分が力学仕事。( が増える向き)。
どちらも極板は引き合い、 が増える向きに動くのは同じ。符号は「何を一定に保つか」で決まる。
━━━ 第 II 部:小テスト2 の範囲(電流がつくる磁界) ━━━
問1:ビオ・サバールの法則(有限長直線)
問1(5点・達成度カ)(出典: R7前学期 小テスト2 問1)
長さ [m] の有限長導線に電流 [A] が流れている(真空中)。導線上の点 O から垂直に [m] 離れた点 P の磁束密度をビオ・サバールの法則から求めよ。(O を境に導線は上へ 、下へ 伸びている。)
**方針:**導線は有限長で対称性が使えないので、アンペールでなくビオ・サバールで積分する。電流素片 が P に作る を全長にわたって足す。そのままでは で積分しにくいので角度 (P から見た角)に変数変換 するのが定石。
Step 1. を書く。O から距離 の素片 をとる。素片から P までの距離は 。 と のなす角を とすると 。
Step 2. 幾何で を表す。直角三角形 O–素片–P で の対辺は 、斜辺は だから 。代入して 。
Step 3. と置換。、()。よって 。
Step 4. だけで書く。
が約分されて だけ残る(ここが置換のうれしさ)。
Step 5. 区間を角度に直して積分。下端 で 、上端 で 。 だから
Step 6. を辺の比に戻す。 は対辺 ・隣辺 の角なので 、下端は 。よって「上端下端」で
Step 7. 磁束密度に直す。真空中なので 。
下端の符号がヤマ。 は負。定義式で「上端下端」と引くと で足し算になる。引き算のままにすると誤り。
検算(無限長極限): で , なので 。無限長直線の公式に一致。
「磁束密度を求めよ」なので最後に を掛けて [T]。 のまま出すと減点。
ビオ・サバール応用:円形コイル(中心・軸上・巻・中心磁界ゼロ)
**中心の導出(板書):**円の中心では、どの電流素片も距離が一定 、かつ なので 。一周ぶん積分して (円周)を使うだけ:
**軸上の導出(板書):**各素片から P までの距離は (一定)。 のうち、対称性から軸方向成分だけが残り、その比率は 。 より
例題:直径 の円形コイル中心の磁界(令和6年度)(出典: R6 過去問)
直径 [m] の円形コイル(1巻)に電流 [A]。中心 O の磁界を求めよ。
**解:**直径が なので半径 。。
半径 の円周は であって ではない。ここを間違えると答えが2倍になる。直径と半径の取り違えに注意。
例題:中心の磁界をゼロにする(板書)(出典: 板書 例題)
半径 の同心円形コイルに電流 を反対向きに流す。中心の合成磁界を にする条件を求めよ。
**解:**中心磁界はそれぞれ , で向きが逆。合成 の条件は大きさが等しいこと:
半径が大きいコイルほど中心磁界が弱いので、外側ほど大きい電流が要る( なら )。
ビオ・サバール応用:正多角形コイル(板書)
多角形コイルは「有限長直線1本ぶんの磁界 を求めて、辺の数だけ足す」だけ。1本ぶんは問1の結果 (=中心から辺までの距離=内接円半径)。 正多角形は中心対称なので、各辺の寄与が等しく、向きもそろうので単純に本数倍。
例題A:正三角形コイル(1辺 、電流 、板書)
中心(重心)の磁界 を求めよ。
**解:**中心から辺までの距離(内接円半径)。辺の半分は なので 、、。1辺ぶん:
3辺ぶん:
例題B:正方形コイル(1辺 、電流 、板書)
中心の磁界 を求めよ。
**解:**中心から辺までの距離 。辺の半分も なので 、、。1辺ぶん:
4辺ぶん:
ビオ・サバール応用:扇形・2コイルの合成〔R4-4, R6-4, R7-3〕
扇形導線の中心の磁界とその向き(令和4年度)(出典: R4 過去問)
点Oを中心とする半径 [m] と [m] の円形導線の と、それらを連結する直線状の導線からなる扇形導線に、図の向きに [A] を流す。中心 O の磁界 とその向きを求めよ。
**方針:**4部分に分ける。①③=直線部、②=内側円弧()、④=外側円弧()。
**直線部 ①③:**電流の向きが O からの半径方向と平行なので 、。。
内側円弧 ②():、弧長 。。
外側円弧 ④():、弧長 。。
**向きの合成:**②と④は周回向きが逆なので O での磁界も逆。内側②が紙面裏()で強く、外側④が表。
同心2コイル・逆向き電流の軸上磁束密度(令和6年度)(出典: R6 過去問)
同一平面・同心の半径 の円形コイル(各1巻)に、電流 を反対方向に流す。中心から の軸上 P点の磁束密度(上向き正)を求めよ。
**解:**軸上公式を半径 に適用。逆向きなので上向きを正として差をとる:
平行2コイル・同方向電流の軸上磁界(令和7年度)(出典: R7 過去問)
半径 の2コイルが 離れて平行配置。 を両方同じ向きに流す。中心 O から の軸上 P点の磁界を求めよ。
**解:**A・B から P までの軸方向距離は , 。同じ向きなので単純に足す:
( で左右対称=ヘルムホルツコイルの中心磁界。)
逆向き電流→差(引き算)、同じ向き→和(足し算)。右ねじの法則で各コイルの軸上磁界の向きを決めてから合成する。ここを取り違えると符号が逆になる。
問2:アンペールの法則(円柱導体の内外)
問2(4点・達成度キ)(出典: R7前学期 小テスト2 問2)
半径 [m] の円形断面をもつ無限長円柱導体に電流 [A] を流す。電流は断面を一様な密度で流れる。各部の磁界の強さを求めよ。
**方針:**無限長円柱は軸対称。中心軸を中心とする半径 の円周(アンペールの輪)では、対称性から円周上で 一定・向きは円周に沿う。だから になり、積分せず解ける。輪の内外で鎖交電流が変わるので場合分け。
【外部 】輪は導体全体を囲むので 。。
【内部 】一様密度なので鎖交電流は面積比:。。
検算( で一致):外部式 → 、内部式 → 。ぴったり一致。答案にこの一言を書くと強い。
内部は (中心 、表面で最大)、外部は 。上のグラフの形も言えると満点。
一様密度が条件。表面だけ流れる(表皮効果)なら内部の鎖交電流は で 。条件を読み飛ばさない。
「磁界の強さ」なので答えは 〔A/m〕。 は掛けない(問1との違い)。
発展:管状(中空円筒)導体の内外(板書)
内半径 ・外半径 の中空円筒導体に電流 を一様密度で流す。各部の を求めよ。
**解:**同じく 。電流が流れるのは の環(面積 )だけ。
(空洞内):。
(導体中):。
(外部):。
( で 、 で外部式に一致するのを検算に使う。同軸ケーブルの内外導体もこの組合せ。)
アンペール応用:無限長ソレノイド(板書)
無限長ソレノイド内部の磁界(板書)
単位長さあたり 巻き()、電流 の無限長ソレノイド。内部の磁界 をアンペールの法則から求めよ。
**方針:**無限長ソレノイドは軸方向に一様で、内部の は軸に平行で一定、外部の は 。長方形の周回路(軸に平行な辺の長さ )をとってアンペールを適用する。
**解:**周回路を「内部の軸方向の辺(長さ )+外部の辺+上下の辺」でとる。外部の辺は で寄与なし、上下の辺は で寄与なし。内部の辺だけが残る:
この輪を貫く電流は「長さ に含まれる巻数 」× = 。よって
は「1メートルあたりの巻数」()で無次元でない。全巻数 をそのまま入れないこと。長方形の辺の長さ は最後に約分で消えるので、 の取り方によらず 。
アンペール応用:環状ソレノイド(トロイド)と鎖交磁束(板書・重点)
黒板で「ここが小テスト2に出る」と示された最重要トピック。 断面の鎖交磁束 まで一気に問われる形。
トロイド(環状ソレノイド):磁界・磁束密度・鎖交磁束(板書)
断面が長方形(内半径 ・外半径 ・高さ )の鉄心に 巻きのコイルを巻き、電流 を流す(透磁率 )。(1) 中心から の磁界 、(2) 磁束密度 、(3) 断面全体を貫く鎖交磁束 を求めよ。
**(1) 磁界 :**中心を中心とする半径 の円周でアンペール。対称性から円周上で 一定・向きは円周に沿う。輪を貫く電流は 本ぶんなので :
(2) 磁束密度 :。
(3) 鎖交磁束 : は で変わるので、断面を幅 ・高さ の細い帯に切って足す。帯の面積 、微小磁束 。これを で積分:
トロイドは内部だけに磁界、外部は (ソレノイドを丸めて閉じた形)。だから漏れが少なく変圧器の鉄心に使う。
鎖交磁束はで、 の積分は 。 から積分しない( から )。単位は [Wb]。
を掛け忘れない。 の (全巻数)は、円柱導体 と見分けるポイント。
問3:平行往復導線の磁束密度と鎖交磁束
問3(6点・達成度ウ・キ)(出典: R7前学期 小テスト2 問3)
半径 [m] の無限長導線2本が間隔 [m] で平行(真空中)。この平行往復線に図のように電流 [A] を流したとき、P 点の磁束密度を求めよ。次に、往復導線の間(長さ [m]、面 ABCD)に鎖交する磁束を求めよ。
**方針:**各導線は無限長直線なので (=その導線からの距離)。2本の磁界を重ね合わせる。往復(電流が逆向き)だと2本の間の点 P では両方の磁界が同じ向きになり強め合う(足し算)。磁束は を面 ABCD 上で積分するが、 が で変わるので幅 の帯に切って積分する。
**前半(P 点の磁束密度):**P は下の線から 、上の線から 。
**後半(面 ABCD の鎖交磁束):**位置 に幅 ・長さ の帯をとると 、。磁束を数えるのは2本の外側なので は(下の線の表面)から (上の線の表面)まで。, を使う:
上端 :、下端 :。上端下端 。よって
往復電流は「強め合う」=足し算が最大のポイント。同じ向き(並走)なら間で逆向きになり の引き算。問題文の「往復」を必ず確認。
積分区間は から 。 から にすると導線内部まで数えて対数が発散する()。半径 があるのはこのため。
(内側の微分 )。符号を落として にするミスが多い。
でくくる整理まで書いて最終形にする。単位 [Wb] を忘れない。
ドリル(数値・条件を変えて練習)
ドリル(白紙で解いてから下の解説へ)
問1で導線が上下に無限に伸びる()とき は何の公式になるか。
問2の円柱で の を、表面 の で表せ。
問3で2本が同じ向き(並走)のとき P点の と、中央 での値。
半径 の円形1巻コイル中心の をビオ・サバールから。
無限長ソレノイド(巻/m、電流 )内部の をアンペールから。
電位係数 , の対称2導体で、2導体間 を で表せ。
円錐台の抵抗で (ただの円柱)にすると はどうなるか。
D1., で 。無限長直線の公式。
**D2.**内部 に :()。内部は なので半分の距離で半分。
**D3.**並走は逆向きで引き算:。中央 で両者が等しく。往復(問3)は足して最大、並走は中央で——この対比が頻出。
**D4.**中心はどの素片も 一定・。。
**D5.**長方形の輪でアンペール。内部だけ 、外部 、鎖交電流 :。
D6.。
D7. 一定なので ( で 、ふつうの円柱の抵抗に戻る)。
最後の見直しリスト(試験直前30秒)
法則の選択:有限長・曲線・コイル→ビオ・サバール、無限長・対称(円柱/ソレノイド/トロイド)→アンペール。最初にどっちか宣言。
ビオ・サバール:→→で 。下端の符号で足し算。円形中心 、正三角形 、正方形 。
アンペール:。円柱内部は面積比 。ソレノイド 、トロイド 。 で内外一致を検算。
鎖交磁束:。平行線は区間〜で 、トロイドは 。
導体系:2導体間 、容量・誘導係数は逆行列、導体球は片方に単位電荷。抵抗は 積分、。
磁極・双極子:( 忘れ厳禁)、双極子 。
単位と :磁界 [A/m]、磁束密度 [T]()、磁束 [Wb]。「磁束密度を求めよ」なら 掛け忘れ厳禁。
導出過程を必ず記述。答えだけは0点。式・幾何・置換・区間を省略せず書き、最後に約分・整理する。
出典
(出典: **小テスト2(本命):**令和7年度 前学期・小テスト(2)/電気磁気学A・4E/出題:塚本武彦先生。 満点15点・合格ライン9点・参照物件なし。問1(ビオ・サバールで有限長直線の磁束密度・5点・カ)、 問2(アンペールで円柱導体内外の磁界・4点・キ)、問3(平行往復導線の磁束密度と面ABCDの鎖交磁束・6点・ウ・キ)。 過去問の写し2枚(ElectromagneticsA/materials/0701/S__32833550–551.jpg)、先輩答案(手書き・15/15)と結論一致。) (出典: **板書(7/2, ElectromagneticsA/materials/0702):**小テスト2の出題予告として、ビオ・サバール(有限長直線・三角形・四角形・円形コイル)、アンペールの周回積分の法則(円柱・管状導体・ソレノイド・環状ソレノイド)、環状ソレノイド(トロイド)の ・・断面の鎖交磁束 を明示。) (出典: **小テスト1(合本分):**令和4・6・7年度 電気磁気学A 小テスト(1)/出題:塚本武彦先生。電位係数から2導体間(R4)・容量/誘導係数=逆行列(R6)・2導体球の電位係数(R7)、円錐台の抵抗と (R4)、棒磁石の磁界(R6)、電気双極子の電位(R7)。旧 denziki0521/matome.tex・denziki/main.tex(静電容量・エネルギー・仮想変位)を本プリントに統合。)